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上記見通しは、見解に過ぎず、相場展開を保証するものではありません。最終的な投資決定は、投資家ご自身の判断で行われますようお願いします。
おはようございます。
米国雇用統計の発表で、悪い数字が出ましたが、出た数字に対する為替相場の動きは私の読みどおりでした。ディレバレッジが効いていると思います。発表された数字は、3月の非農業部門の雇用者数は80,000人減と市場予想は50,000人減と比べて大きく悪い数字です。そして2月の数字も63,000人から76,000人へとこちらも悪い。また失業率自体も5.1%と悪化しています。それでは金融市場はどのように反応したのでしょうか?思ったほどドルは売られませんでした。これはシカゴ筋を中心にまだドルショート(ドル売り持ち)が溜まっているからです。そしてヘッジファンドを中心に資金繰り難があるからと想定されます。ポジションを解消する動きがまだ続いているからです。これは、先週金曜日のオーストラリア準備銀行(RBA)スティーブンス総裁の公聴会の中のオープニング・ステートメントの中に明確に書かれています。(先週金曜日の当イーブニングレポート参照)ドルを売りたいのはやまやまなのですが、それができないのです。お金が調達できない。資金調達源が絞られているからです。だから、本来の状況であれば、ドル/円は101.00を割って100.00をも割っていても不思議ではありません。逆に雇用統計で良い数字が出て、本来ドルがもっと下がる相場観で、ポジションを落とさざるを得ない状況にならなくてほっとしていると私は想像します。
その他の金融市場はどうであったのでしょうか。こちらもディレバレッジが効いています。ドルの売りが加速されず、金は913ドルと大きくは変われませんでした、原油もWTIで2.40ドル上昇のみの106.23ドルです。株式市場も小幅下落の、債券市場では、確かに10年債の金利は3.59%から3.46%に大きく下げており、一見安全志向かと思われますが、10年債と2年債のスプレッドが168から164のみに縮まったのみです。大きなフラットニング(Flattening: 全体のイールドカーブが下がってくることを言い、景気後退局面に資金ディーラーがとるポジションです。スティープニングの反対です。)とは進んでいません。金融市場は信用収縮を前提に取引を進めざるを得ない状況になっているような印象です。
スロベニアでユーロ圏財務相会合(15カ国)が金曜日に行なわれました。例のユンケル氏が議長です。ユンケル議長はインフレ懸念が全ての政府の共通の懸念と強調されました。スペインは4.4%もあります。外野席からは利下げもそのうちにとの話が出ていますが、当面有り得ません。現在の政策金利4%は維持されます。トリシェECB(欧州中央銀行)総裁も参加されていました。中期的な物価安定を実現するには、現在は賃金を抑制することは必要であると理解することは重要であるとコメントされました。ドイツを中心に賃金交渉の真っ只中、賃上げによるインフレ助長を心配されています。為替についての合意があり、注意しないといけません。トリシェ総裁は過剰な為替相場変動を懸念しており、米国の強いドル政策を評価すると述べられ、ユンケル議長は、今週金曜日ワシントンで開催されるG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)で、為替問題討議の中で、ユーロ相場の急上昇について問題提議されると明言されました。これは注意しないといけません。
これからの流れを読むと金融機関の中にはまだまだ1~3月期での新たなサブプライム問題関連での損失計上をしそうなところが出てきそうだ。米国の地方銀行、欧州の英系、フランス系、ドイツ系金融機関、そして保険会社が危ない。英ノーザンロックは国有化されているから、英国政府の保護下ですから大丈夫のようです。そして米第1四半期のマイナス成長確認と同じ日(4月30日)に発表されるFOMC(米連邦公開市場委員会)での政策金利の発表です。0.50%の利下げを市場は観測しています。信用不安は安堵感があるのですが、後はどの程度の規模の損失が表に出るか、そしてマイナス成長の確認といったところがテーマです。
為替相場に戻ります。最初に述べましたがディレバレッジ効果でドル安の流れがなだらかになりました。流れはドル安なのですが、動くに動けないヘッジファンド筋に支配されている為替市場です。ということでドル/円は101.00を割る勢いはありません。101.00~106.00内での動きを暫く予想します。日足でのゴールデンクロスの状態ということを考えると102円台から103.50あたりを目指す動きではと読みます。そろそろ日本にファンダメンタルズの悪さがテーマとなってくるのではと考えます。ユーロ/ドルは、今週のG7でユーロ高問題が討議されるとのことで頭が重いかもしれません。重要な節目1.5700がサポート(支持線)となるかがポイントです。ポンド/ドルはポンドの頭は重いと予想します。後でも述べますが、シカゴ筋は既にポンドショート(売り持ち)にポジションを転換しました。1.9700~2.0400のレンジ内ですが、議事録でのポンド下落リスク明記と木曜日のBOE(イングランド銀行)の政策決定委員会での一部利下げ観測もあることから、1.9700方向を読みます。オージー(豪ドル)/ドルは、RBAスティーブンス総裁の先週金曜日の公聴会内容からして、利上げはないものの利下げも遠い将来にしかないとの意味合いからして、オージーへの投資は進むと読みます。0.9100~0.9600のレンジ内で0.9600方向を読みます。クロス円では一番面白いロング(オージーの)でのポジションと思います。
シカゴ筋(CME)情報:4月1日時点
円 ネットロング 52,298枚(前週比-13,622枚)、ユーロ ネットロング 29,072枚(-13,699枚)、ポンド ネットショート 2,760枚(ロングからショートに転換し、ネットで22,488枚減少)、スイスフラン ネットロング 8,881枚(-1,900枚)、オージー(豪ドル) ネットロング 36,968枚(+1,348枚)、キューウィー(ニュージーランドドル)ネットロング 7,454枚(-1,997枚)
ディレバレッジが進んでいることが分かります。円は突出して円ロング(ドルショート)が溜まっています。これは重要なヒントです。ポンドでのポジションの転換が目立ちます。議事録の内容、キング総裁、ビーン委員からのメッセージで、ポンド下落の利下げ観測ですっかりはポンド売りへ傾きました。これは尊重しないといけません。ポンド/円ではポンドショートの方が良いと読めます。ドル要因での一見ポンド高は絶好のポンド売りのタイミングと言えます。オージーは相変わらず投資冥利があり主要通貨とは関係なく買われています。シカゴのポジションからはこれからの為替相場の流れのヒントが読み取れます。
解説:ディレバレッジ:レバレッジの反対です。リスク許容度を資金調達の多様化で高めることをレバレッジと言います。その反対の動きつまりリスクをもう取らなくそして、ポジションを解消することとなります。尚、用語としてデレバレッジ→ディレバレッジに統一します。
宣伝:今日の夕方全国主要駅の売店で販売されますNSJ日本証券新聞にて「水谷文雄の為替相場観」を寄稿します。(正確には火曜日8日付けなのですが。)外国為替のページのコラムに載っていますから是非購読お願いします。一部180円。写真はカメラマンの腕が良いことを証明しています。(月2回の第1と第3月曜日掲載です。)
それでは今週も宜しくお願いします。そして相場と仲良く対話しましょう。
上記見通しは、見解に過ぎず、相場展開を保証するものではありません。最終的な投資決定は、投資家ご自身の判断で行われますようお願いします。
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国際金融市場をやさしく解説して、為替の世界のおもしろさを皆さんに広めたいと意気込んでいます。