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上記見通しは、見解に過ぎず、相場展開を保証するものではありません。最終的な投資決定は、投資家ご自身の判断で行われますようお願いします。
おはようございます。
耳慣れない見出しで何だろなと思われた方のほうが多かったのではと想像します。これが昨日のNY市場のメインテーマでした。先日FRB(米連邦準備理事会)が新たな資金供給策として発表したのがTSLFでフルに書きますと「Term Securities Lending Facility」の頭文字を取ったものです。これはプライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)向けの証券貸出し制度で、リスクの高いモーゲージ債(RMBS (住宅ローン債券証券 Residential Mortgaged Backed Security)))を担保として米国債を28日間貸し出す制度です。米国債を借りた金融機関は、これを担保に資金が調達できる仕組みです。そして、その最初の入札が昨日行われました。貸出し予定750億ドル(約7兆5000億円)に対して861億ドル(約8兆6100億円)と応札倍率が1.15倍と、意外少ない倍率で応札する投資銀行を中心とした金融機関の資金調達に不安感がないとの観測を呼んだようです。資金調達不安が金融機関にあれば応札倍率が2倍とか3倍に膨れ上がります。ということで金融市場に安心感がでました。ただ一時的と私は読みます。四半期ごとの期末越えは資金ディーラーにとっては頭を悩ますところです。特に信用不安の噂のあるような金融機関は。資金ディーラーはブローカー経由の取引でも必ず相手の名前をチェックできる権利を有します。それは危ない金融機関には金を貸してはいけないからです。どんなに高いレートでのオファー(貸出しレート)であっても、ディーラーとしては儲けられるのですが、資金が回収できなければ取引の意味は全くありません。今回の期越えは、土日を挟まない1日のみの期越えであるために資金ディーラーには安堵感があります。だからNY連邦準備銀行は目立った資金供給の枠拡大などを発表をしていません。今回のTSLFでまず市場環境に対してリトマス紙を流してみたのではと解釈します。これで応札倍率が高ければ何らかの策を打ち出す可能性はあったのではと思います。来週月曜日の資金繰りは何とかなりそうなNY短期金融市場です。
TSLFの結果でドルは若干買い戻されたようでした。また第4四半期のGDP(国内総生産)確定値は前月の改定値と全く同じの+0.6%(前期比)と金融市場には反応なしです。昨日も申しましたが重要なのは来月下旬発表予定の今年の第1四半期のGDPの速報値です。マイナス成長を予想させるような数字が出れば、29/30日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)での大幅利下げを市場は促します。同時にドル売りのクライマックスを迎える可能性があります。
今朝方日本の経済指標が発表されました。2月の失業率3.9%と予想よりも若干悪いようです。また2月の全国CPI(消費者物価指数)は+1.0%(前年同月比)と落着いている。ECB(欧州中央銀行)、BOE(イングランド銀行)から見れば羨ましい限りの数字です。まだ感覚的にはデフレですね。3月の東京のCPIは+0.6%(前年同月比)とこれもデフレ感覚の数字です。一般には原油高と穀物高から物価上昇圧力が高まっているのですが。
為替市場に移ります。基本的に昨日と全く変わりません。ドル売りの潜在的要素(米国の信用不安とファンダメンタルズの悪化)が残っています。金は950ドル(1オンス)と新雪が積もり始めています。質への逃避、安全志向、ドル売りが金融市場環境です。ドル/円では東京時間帯では実需のドル売りが出そうですから100円手前では頭が重い。しかし流れはドルベア(弱気)と読みます。101.00~96.00のレンジで96.00方向と読みます。ユーロ/ドルも昨日少しユーロが売られて気になっていましたが1.5800前後と一安心です。1.6000方向と読みます。ポンド/ドルは気迷い気味です。キング総裁に敬意を表した流れにはなっていません。オージー(豪ドル)/ドルが一番わかりやすいですね。0.9600方向を読みます。
思い出:花見:ディーリングルームにいると他の部署と交流がないかというとそうではありません。この時期になると決まってお花見です。一番の人気は千鳥カ淵公園、靖国神社が候補ですが、よく行ったのがやはり上野公園でした。円決済部門にそのあたりのプロがいらして、アメ横で買い物して、飲み物とつまみを調達、そして上野公園へと。なかなか外資系にしては日本的でした。適当に新聞紙を持ち寄り、場所探し。でもほとんど良いところは朝からの場所取りがあるようで難しい。横っちょで花より団子です。結局早々に切り上げて夜の世界に出掛けることになるのです。健全に過ごして早めに帰宅です。お花見については、来週は他の銀行との交流会について話しましょう。それでは。
今日は為替相場が動きそうにないと読みましたので、ちょっと硬い話をしました。しかし、中央銀行の金融調整は為替相場を読む上では貴重な材料を提供してくれますので、しっかりと押えておきましょう。たとえばモニターにTSLF応札倍率高いと流れたらすかさずドルを売るということです。見出しが理解できないと為替相場と対戦できません。また理解できない市場関係者よりも一歩手前で良いコストのポジションを作ることができます。
それでは今日は週末でもありますからちょっとリラックス!
上記見通しは、見解に過ぎず、相場展開を保証するものではありません。最終的な投資決定は、投資家ご自身の判断で行われますようお願いします。
はじめまして。
為替・金融の世界は本当に奥が深いです。皆さんに解りやすくその真髄を解説したいと思っています。この世界にもう30年近くいるのですが、こんな面白い世界はありません。楽しく、正確にをモットーにしています。どうぞお気軽に質問ありましたら書き込みください。
それでは。
水谷
>はじめまして。いつも朝、夕、拝見させて頂いています。まだ相場の世界を知り、2年の32才です。本業の傍らで、ちょこちょこトレードをしています。水谷さんの丁寧な説明の相場観と、裏話をいつも楽しみにしています。今後も、参考にさせて頂きながら、自分のトレードをしていきます。また、コメントや相談を書き込ませて頂くかもしれませんが、どうか宜しくお願いします。それではブログの更新、楽しみにしています。
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国際金融市場をやさしく解説して、為替の世界のおもしろさを皆さんに広めたいと意気込んでいます。